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GLOBIS CAPITAL PARTNERS & Co. ベンチャーキャピタリスト 上村康太 のブログ。

僕がツクルバに投資する理由。/第三者割当増資を引き受け、社外取締役に就任しました。(グロービス・キャピタル・パートナーズ 上村康太)

このたび、株式会社ツクルバへ自分が所属するグロービス・キャピタル・パートナーズGCP)からの出資を完了いたしました。投資完了に伴い、私上村が社外取締役としてツクルバのボードメンバー/経営陣に入ります。

昨年2015年2月にGCPにジョインしてから、株式会社大都ファストメディア株式会社と二社を新規投資DDから担当していますが、個人としてソーシング/案件調達から投資実行まで行い、社外取締役として参画する自身初の案件となります。

ベンチャーキャピタリストとしての人生を考えた際に、初案件とは当然後にも先にもこの1社となるため、ツクルバに投資に至るまでの背景と想いをここに記しておきたいと思います。

まず初めにツクルバという会社について。

 

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その特徴を簡潔にまとめると下記のようになります。

  1. 不動産×IT×デザインの融合。不動産業界経験者、WEB系人材、建築デザイナーが共存するユニークな企業カルチャー。『実空間と情報空間を横断した場づくりにおけるリーディングカンパニー』をビジョンに掲げる。

  2. 注力事業であるリノベーション住宅特化のオンラインマーケット「cowcamo」が取り組むのは、国が政策で2020年に中古住宅流通・リフォーム市場の規模倍増(20兆円)を掲げる成長市場。昨年1月のβ版のリリースから1年で、既に月間数億円の流通規模に成長している。

  3. 2011年創業。日本のコワーキングスペースの火付け役、自社ブランド「co-ba」は全国11箇所に展開。また、カスタマイズ賃貸物件のプロデュースなど不動産領域で新しきを産みだしてきた実績をもつチーム。CCOの中村氏は日経アーキテクチャ「次代の変革者100人」に選出。

  4. 社内にデザインファーム「tsukuruba design」を抱え、メルカリ、アカツキなどの独自性の高いオフィスや商業施設、店舗などの空間デザインを手掛ける。先進的な老舗企業として知られる日本交通の本社デザインも全面プロデュース中。


ツクルバが注力事業とするcowcamoが取り組むのは、中古住宅の流通革命です。不動産売買流通の世界は、リクルートが1996年に『住宅情報On The Net(現:SUUMO)』をスタートしてから約20年イノベーションの起きていない領域と言えます。

これまで新築至上主義と言われた日本ですが、近年リノベーションが世の中に浸透し、現在ではその認知度は90%を超えると言われており、かつ現在流通している中古マンションの約半数はリノベ(リフォーム)済みの物件です。リノベーションをきっかけに中古住宅の活用が進む中で、これまで新築流通を前提に構築された不動産情報サービスでは対応しきれない、中古住宅流通に最適なサービスが求められています。

cowcamoは、テクノロジーを用いてリノベーション住宅の物件情報をユーザーにダイレクトに届け、中間業者を介さずに物件の販売に繋げていくマーケットプレイスモデルを採用しています。先日リリースした「360°動画によるバーチャル内覧サービス」もその取り組みの一部です。

物件例) ローレル永田町(千代田区)の詳細情報【cowcamo】

 

続いて、ツクルバの創業経営陣を紹介します。

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◆(左)代表取締役CEO 村上 浩輝
1985年生まれ、立教大学社会学部卒業。学生時代より事業を行う。不動産ディベロッパーのコスモスイニシアに新卒入社。同社にて事業用不動産のアセットマネジメント事業に従事。リーマンショックの影響で新卒全員がリストラ。その後、不動産情報ポータルサイトHOME’Sを運営するネクストでITサービスの企画開発・プロモーション戦略に従事。新規サービスの功績などで、在籍中はMVPを複数回受賞。2011年8月にツクルバを共同創業、現職。

◆(右)代表取締役CCO 中村 真広(クリエイティブディレクター/建築家)
1984年生まれ、東京工業大学大学院建築学専攻修了。建築設計の前段階から関わるべくコスモスイニシアに新卒入社し新築マンション部門に携わる。リーマンショックの影響で新卒全員がリストラ。その後、ミュージアムデザイン事務所を経てツクルバを共同創業、現職。2015年4月より一般社団法人HEAD研究会理事に就任。共著として「シェアをデザインする」がある。


ビジネスサイドを牽引する村上とクリエイティブを統率する中村、バランスの取れたパートナーシップを持って企業経営を行なっています。共にリーマンショックを期にリストラを経験しているため、先を見据えた経営を行うこと、そして強いチームを作りあげることに重きを置いた経営陣です。

・・・・

さて、ここまでツクルバについて紹介してきましたが、ここから本題に入り、今回の投資に至った背景について。

ツクルバの村上、中村との出会いは、今から5年前の2011年に遡ります。当時僕もシンクランチ株式会社を創業した直後で、彼らがクラウドファンディング資金を集めて渋谷でコワーキングスペースco-baを開始した少し後でした。確か、同世代の面白い起業家がいるよ、という流れで知り合いにづてに会ったと覚えています。

同世代であること、創業が共に2011年8月であったこと、そしてお互い新しいコンセプトを打ち出してメディア等に露出して集客を行なっていたこともあり、定期的にお互いの近況を話あうような仲になりました。

5年前に会った当時それぞれは26歳前後。そのころはお互い起業家として駆け出しで、著名な経営者に会えばテンションが上がってたし、メディアに記事で取り上げて貰えば嬉しくて自慢したりもしていました。いわゆる起業初期の浮き足立ち期です。

それから月日が経ち、ツクルバは事業を順調に拡大していきました。一方で、僕は自分の会社を売却し、売却先の企業で経営メンバーとして働きはじめました。

企業売却、バイアウト!などと言うと成功ストーリーのようではありますが、もちろん金銭的なリターンはあるものの自分としては、しっかりと事業を推進し、仲間を集め、カルチャーを醸成し、経営者として着実に成長していく村上、中村の姿を見るに、自分達の選択は本当に正しかったのだろうか?という羨望の感情があったのは事実です。

昨年2015年2月、僕は事業サイドからVCという世界に飛び込みました。「どうしてVCになったんですか?」という質問を良く受けますが、自分が起業家として過ごす中で出会っていった若くて超優秀な同世代の起業家が次のステージに進むタイミングで圧倒的に支援できる存在になれたらどれだけ楽しく意義あることだろうか、と感じたことが一つの理由でした。

いつのことが忘れましたが、ある日村上と飲んでいた時に「こうた、VCとか向いてるんじゃない?」となんの気なしに言われたのを覚えています。その時は、特に意識もしなかったのですが、その後たまたま複数人の経営者に同じことを言われたことがその道を真剣に考えるきっかけとなりました。

もちろん当時は今こうしてツクルバに投資することなんてこれっぽっちも考えてなかったのですが、たまたま縁が巡ってきたことに、人生の不思議さと面白さを感じます。

昨年夏前村上から資金調達を検討しているという話を受けて、話し合いを開始しました。事業の数字を聞いたところ、ツクルバは従業員を20名ほど抱えながら黒字経営を続けており資金調達をしなくてもやっていくことができる企業でした。

友人として彼らの成長は知っていたものの、実際にどういう事業進捗で、どういう計画で、どういう未来を描いているのかを踏み込んで話したのはこの時が初めてでした。彼らの話を聞き、目指す未来の大きさに一キャピタリストとしてその将来を応援したいと改めて強く思いました。

とはいえ、どんなに人間関係があっても資金調達という互いの利害が生じる場面ではそれだけではもちろん成立しません。

ツクルバとしては、今後の事業のパートナーとして最善の相手か否か、そして投資条件で相手を選ぶ必要がありますし、我々VCとしてはファンドとしてきちんとしたパフォーマンスをあげる必要があるため、本当に勝てる会社なのか?という見極めを行わなければなりません。

僕の所属するGCPは、過去20年の歴史の中で投資してきた会社数の1/4が上場してきたファンドであり、その審査プロセス通過することは簡単ではありません。これは自分達のパフォーマンスを維持するのはもちろん、上場という公の評価に身を晒すプロセスに耐えうるかというビジネスおよびチームの見極めも含んでいるためです。

僕は担当キャピタリストとして、不動産・リノベーション市場の世の中にあるデータを片っ端から読み漁り、業界関係者にヒアリングにまわりました。ツクルバが進もうとしている市場が将来どのように成長するのか、その中でどう勝てるのか、それを立証しかつ戦略で補完するためです。
そして、悪戦苦闘の結果、今回の投資に至りました。

最終の投資委員会が通った夜、村上と二人で飲みました。
色んなことを話しましたが、

「こうたさ、人生においての喜びを考えた時に金持ちになるだとか派手な生活するだとかそんなものは刹那的なものですぐに飽きてしまう。でも俺は尊敬をもって自分をさらけ出して一緒にやれる中村というパートナーがいて、ツクルバって会社はもう二度と作れないと思えるほどあつい仲間が集まっている。そんな皆がここの仲間であることを胸を張ってプライドをもって生きられるような会社にしたい。そして、一度の人生なのでもっとでっかい世界が見たい。調達を考えた時に正直選択肢は沢山あった、でもこいつなら一緒に起業家人生を歩みたいと思える相手を選んだんだ。これからよろしくな。」

普段は冷静な村上からそんなアツい言葉を受けました。

ツクルバは、本気でこの社会を変えられるような、人が生活を行う基盤である不動産・建築領域を軸に人が幸せに生きられる世の中を生み出すチャレンジをする企業だと僕は考えています。

コワーキングスペース
・企業カルチャーを反映した空間デザイン
・リノベーション住宅流通

と彼らが展開する事業は、自分らしい働き方、自分らしい働く環境、自分らしい住み家を世の中に提供しており、「画一的な価値観から解放して、個性の発露をサポートする会社」だな、と個人的には解釈しています。

絶対勝てると自分が思った会社に絶対勝ってもらうのがVCとしての僕の仕事です。自分の時間は有限のため担当できる会社数は限られています。だからこそ、世の中や社内のメンバーに対して誠実で、高い志と想いを持った、これだと信じられる経営者を強く支援できる存在でありたいと思っています。

経営者は常にシビアな環境に身をさらします。外部にいるVCなどには想像もできない苦労心労があります。この業界に入ってきてから、経営者を上から見る外部者を幾人と見てきましたが、その度に心の中で中指を立てています。

外部から本質的なサポート、彼に担当してもらって良かったと思ってもらう事は並大抵のことではありません。また、旧知の友人であるからといって慣れ合いになっては意味がなく、ビジネスパートナーとして真剣に彼らを担ぐ。僕はその覚悟を持ってこの案件に挑みます。

ツクルバは多くの先輩起業家から応援されている企業です。フリークアウト取締役COO/イグニス取締役の佐藤裕介氏、アカツキ取締役COOの香田哲朗氏、メルカリ執行役員(元コミュニティファクトリー代表取締役)の松本龍祐氏と次世代を担う若手起業家が投資家・アドバイザーとしてサポートしています。

また、昨年10月には不動産関連事業及び組織開発における豊富な経験を有する高野さんが取締役に就任し、その経営体制を強化しました。そして、今回の資金調達に合わせて、GCPからはパートナー兼最高戦略責任者の高宮がアドバイザーに就任いたします。

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(左から高野氏、中村氏、村上氏、上村、高宮)

 

◆高野 慎一(取締役)
1958年生まれ。東北大学法学部卒業。株式会社リクルートにて人事・広報(創業者の江副浩正氏直下)を経て、株式会社リクルートコスモス(現コスモスイニシア)の上場プロジェクト発足に伴い同社へ出向・転籍。不動産流通・賃貸事業で管理職を務め、2006年、同社執行役員に就任。グループ戦略室長・総務人事グループ長を兼務。同社の株式上場、管理部門創設、バブル崩壊後の不動産賃貸事業の黒字化、リーマンショック後の日本初の事業再生ADRなどで中心的な役割を果たす。2010年、株式会社ぎょうせい入社。執行役員管理本部長として長期連続減収減益であった同社の立て直しを図り、4期連続増益でV字回復を実現。2015年9月末をもって同社を退社し、ツクルバに参画。

◆高宮 慎一(アドバイザー)
戦略コンサルティング会社アーサー・D・リトルを経て、2008年9月、グロービス・キャピタル・パートナーズ入社。現パートナー兼最高戦略責任者。IT領域の投資を担当。主な投資実績としてメルカリ、カヤック、ピクスタ、ランサーズ、nanapiなどがある。東京大学経済学部卒、ハーバード大学経営大学院MBA修了。

 

昨年一年間でツクルバのcowcamo事業をドライブするメンバーも続々と集まって来ています。SUUMOにて10年の事業経験を有するプロデューサー、GREEから技術部門責任者、ブルースタジオからコンテンツ制作責任者、サイバーエージェントからUI/UXチーフデザイナー、ソニー不動産から営業リーダー、アクセンチュアから経営企画責任者などなど。

僕は起業した頃から「Let's make the web, enriching the real life.(人生を豊かにするインターネット)」を標語に掲げていますが、ツクルバならきっとその夢を共に叶えられると信じています。

会社とは、ひっくり返せば社会、社会に認められる存在であってこそ会社としての本質的な意味を成します。ツクルバというチームは恐ろしいポテンシャルを持っています。今後の飛躍にご期待ください。

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仲間を集めています。


>最後に、ひろき、まーくん、仲間に選んでくれてありがとう。がんばろうな!