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GLOBIS CAPITAL PARTNERS & Co. ベンチャーキャピタリスト 上村康太 のブログ。

起業・売却を経て、ベンチャーキャピタリストとして働く。

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私事ではありますが、2015年2月よりグロービス・キャピタル・パートナーズの投資担当の一員として、ベンチャー企業への投資/支援事業に従事することにしました。


これまで、人生の転機にはその時々の思考を記録すべくブログポストを書いてきましたが、今回また一つの転機を迎えたためここに書き認めたいと思います。

これまでのキャリアを振り返ると、Googleで広告営業を2年半、シンクランチ株式会社を起業、企業売却、そして売却先のDonutsで人事部長と、世界規模の大企業、スタートアップ、急成長期のミドルベンチャーと、結果的に大中小のフェーズの企業で仕事生活を過ごしてきたことになります。

現在、28歳。短期間に物凄く多くのことを体験し、目の回るようなキャリアを歩んできました。場合によっては、世間からすると"フラフラした若者"というように見えるかもしれませんが、自分は必要性に応じて意志を持ってこの人生を歩んで来たためこれまでの歩みに誇りを持っています。

これは常々思ってることですが、人はそれぞれの価値観に従って人生を歩めば良く、他人に対して己のものさしをもって確あるべしと声高に叫ぶのは己を慰める行為に過ぎないので、皆がもっともっと自分自身に向き合い、自分が満足する人生を歩めば、世の中はもう少しハッピーな場所になるだろうなと考えています。

今回自分も様々な葛藤に向き合いながらこの決断をしました。

人の体はひとつなので、何かを仕事にすることを選べば、何かを諦めなければなりません。そこにあるのが選択です。

先日一つの良書に出会いました。400mハードル日本記録保持者で世界陸上2大会で銅メダルを獲得したアスリート為末大さんの書籍で「諦める力」という本です。

そこには、

"「諦める」という言葉の語源は、「明らめる」だという。仏教では、真理や道理を明らかにしてよく見きわめるという意味で使われ、むしろポジティブなイメージを持つ言葉"

 

"可能性がなくなっていくと聞くと抵抗感を示す人もいるけれど、何かに秀でるには能力の絞り込みが必須で、どんな可能性もあるという状態は、何にも特化できていない状態でもあるのだ。できないことの数が増えるだけ、できることがより深くなる。"

と書かれていました。

何かに本気で挑み、そして成し遂げてきた人だからこそのとても深くて重い言葉だと感じました。


自分自身に置き換えてみると、大企業でのキャリア、起業家としての人生、成長ベンチャー企業幹部というポストを"明らめ"、今回の選択を選びました。

最終的に決めた理由はシンプルでした。まず、何よりそれをやりたいと感じたこと。そして、自分のこれまで経験してきたことが最も活きる世界であると考えたためです。周囲の経営者複数人からの薦めを受けたこともこの決断を後押ししました。

企業売却を行った際に、自分の尊敬する方から一冊の本を推薦されました。内村鑑三の「後世への最大遺物」という本です。

タイトルの通り、自分の人生をもってして後世に何かを残すということはどういうことか、そして何を残すべきか、という内容でした。

これまで後世に何かを残すだなんて大それた事は考えたこともなかったですが、読んでみればなるほど、人が幸せな生涯を送るためには素晴らしい考え方であると感じました。

そんな中、自分なりにこれから何が出来るだろうかと真剣に考えてみた結果、ベンチャーキャピタルという投資サイドから日本を代表する企業をこの世に生み出すことに、これからの人生をかけることを決めました。

VCは起業家の伴走者です、その任務は然るべきタイミングで然るべき評価で必要な資金を提供することを仲介し、また必要な情報・人・追加資金を連れてくることだと考えています。併せて、金融業であるため、実績に裏付けされた資金を預かる出資者からの信用と信頼が不可欠となります。大きく言えば、資本主義経済における正しい資金の循環を媒介する電極のような存在であると捉えています。


先の為末さんの本の話に戻ると、その中でアスリートとコーチの関係性は日本とアメリカでは捉え方が違うと書かれていました。日本ではコーチと言うと師事する相手であり全幅の信頼をおいてその人の指導を仰ぐという色合いが強いが、アメリカではコーチとは自分の必要な部分をサポートさせるパートナーであり、アスリートが自ら自分に合ったコーチを選んでつける、との内容の記載がありました。

その話を読み、起業家とVCは米国で言うところのアスリートとコーチに似ているのではないかと感じました。何事も慮ることは出来ても、それを経験したことがある人にしか決してわかり得ない領域があります。経営者の本質的な悩みは、そのフェーズを過去に経験した先輩経営者にしかわからないと僕は思っています。その中でVCがすべき事はプロフェッショナリズ厶をもって企業の経営をサポートすることであり、自分自身は特に人事・採用およびPR面でのバックアップを行ってゆきたいと考えています。

日本のベンチャー企業を取り巻くエコシステムは自分が起業した数年前と比べても大きく変化し、発展しています。ただし、まだまだです。自分はこの世界が好きなので、これからこの世界の更なる発展に貢献していきたいと思います。

現在市況環境が良く、資金調達市場においては"プチバブル"だと揶揄されたりもしますが、好況不況は繰り返すものであり、起業家もVCも共にその時々なりのやるべきを成すだけだと考えています。

人生は短く、何が起こるかわかりません。その昔、自分が今このような道を歩むことになるとは想像だにしませんでした。

ただ真剣にまっすぐと、最終的に「あー良かった」と人生に満足して死ねるように精一杯これからの日々に対峙し、取り組んでいきたいと思います。

引き続き生意気な僕ですが、これからもよろしくお願い致します。

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2015年1月30日
上村 康太 (Kota Uemura)