読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

SyncLife

GLOBIS CAPITAL PARTNERS & Co. ベンチャーキャピタリスト 上村康太 のブログ。

26歳、起業・バイアウトから人事部長へ

今から半年前の2012年12月、僕は自分達の会社を株式会社Donutsに企業売却しました(バイアウトされました)。2011年8月15日の起業から1年4ヶ月。驚くような結果に至ったことを光栄に思っています。

自分にとって大きな人生の出来事を冷静に考えられるようになるまで時間が必要だったのと、バイアウトやったぜ!みたいな浮かれた野郎に思われたくなかったので、半年ほど息を潜めていましたが、この区切りのタイミングで記録として記しておきたいと思います。

僕らの運営していた「ソーシャルランチ」は 前回のポスト でも書きましたが、2011年5月にサラリーマンとして働きながらの福山の個人プロジェクトして世に公開されました。その後、新しいコンセプトのサービスを世に広め、事業化を行なってゆこうと、共にGoogleを辞め、8月にシンクランチ株式会社を創業しました。

f:id:kotacos:20130625211159j:plain

(今も手元にある旧オフィスの表札)

それからの1年4ヵ月の間に起こった出来事の数々は僕の人生を大きく変えるものばかりでした。ただ、ここに書き始めると今日という一日だけではどうにも終わらなくなると思うのと、そんな過去のことをつらつらと書いても仕方ないので、この世に生まれた一つのスタートアップがバイアウトされる最後の場面と、その中の人たちがどんな心境でその次のステップを過ごしているのかをさらっと書きたいと思います。

僕らがバイアウトを本格的に検討し始めたのは、サービスリリースから1年経った2012年10月でした。サービスの大転換をするにあたり、共に歩むパートナーを必要としていました。いくつかの企業との交渉を開始し、その中には海外の企業もありました。

そんなある日、福山がランチからオフィスに帰って来ると興奮しながら言いました。


「Donutsという企業が僕らに興味を持ってくれた。」

 

Donuts?僕は耳を疑いました。
早速、検索をしてみたところ、コーポレートサイトを見るに、どうやらソーシャルゲームを提供している企業のようだ。しかも、『暴走列伝 単車の虎』というなかなかにコアなゲームの会社。しかし、なぜDonutsが僕らを?その展開に驚きを隠しきれませんでした。


当時の僕のようにDonutsという企業についてあまり知らない人が多いかもしれませんが、DeNAの新卒一期生だった西村と根岸の同期二人によって2007年に創業されたベンチャー企業です。ソーシャルゲームを主軸事業にしながら、恋愛とメイクのハウツーサイト『ハウコレ』、勤怠管理システム『ジョブカン』、そしてSI事業など幅広い業務展開をしています。

ちなみに、ハウコレは元々「みんなでつくるハウツーサイト」として運営されており、nanapiのkensuuさんのブログにも言及されています。

・[Howtoサイト] nanapiの競合たちと、その戦略のまとめ

現在は、女子向けに「恋愛とメイクのハウツーサイト」としてピボットを行い、月間2,000万PVを超えるメディアに育ち、事業単体での黒字化を達成し順調な成長を遂げています。

知れば知るほど面白い企業で、創業6年で直近決算期の売上は28億円、社員は70名。

話を戻し、そんなある日のランチから僕らの人生はまた大きく動きだしました。そこからデューデリジェンスが開始し、最終の調整を経て、交渉開始から約2ヶ月後の12月10日に企業売却が完了しました。
・ソーシャルランチをソーシャルゲームのDonutsが買収、創業1年4カ月で


すぐに僕らは自分たちのオフィスをクローズし、チーム全員でDonutsのオフィスに移転をしました。年の暮れ、あっという間の出来事に頭の中を様々なものがグルグルとまわりながらも、前へ前へ足を進める状態だったことを覚えています。

 

f:id:kotacos:20121214170313j:plain

(慌ただしい移転作業中に撮った雑然とした旧オフィスの様子)

 

Donutsに移動してから、僕ら2人はそれぞれ異なった動き方をすることになりました。

まず、福山はソーシャルランチの大規模リニューアルと新規サービスの開発を行うため、Donuts内に『社長室』という新規部署を設立しました。

一方僕は、Donutsの成長を支えるのに必要な人材の獲得と組織作りを行う『ヒューマンリソース部』を立ちあげました。 僕がヒューマンリソース部≒人事部の部長となったと聞いて、多くの人から「どうして?」と聞かれましたが、僕にとってはとても自然な流れでした。

僕らは自分たちの生み出したサービスをより大きくするため、そして世界により大きなインパクト与えられるサービスを生み出すため、Donutsをパートナーとして選びました。
Donutsは可能性に満ち溢れた企業です。創業10年以内100名以下の企業で非上場、そして業界指折りのスマッシュヒットアプリゲームを運営し、潤沢なキャッシュを保有しています。

 

【参考:Google Play 世界月間売上ランキング】

f:id:kotacos:20130630180633p:plain 

 

この可能性溢れる企業を「本物」にすることが自分たちの次なるチャレンジだと考えました。

企業の成長に必要なのは、言うまでもなく【人】です。
僕はそこに自分のチャレンジのフォーカスを絞ることにしたわけです。

26歳そこそこの若輩者がヒューマンリソース部の責任者になることには確かに難しさはあります。しかし、やれることは山ほどあると判断しました。そして良く言われることですが、この企業には社内政治がありません。Donutsのメンバーは外からやってきたそんな僕らを心よく迎え入れてくれました。

そんな経緯で僕はDonutsのヒューマンリソース部の部長となりました。
そして、チームには長年人事に関わってきた優れたメンバーが集まってくれました。

国内でもいくつかバイアウトの事例がありますが、多くの事例はスタートアップが大企業に企業売却をするパターンです。その場合、もしかしたらバイアウトは物語の終わりを意味するのかもしれません。しかし、僕らのように "これから" の企業と一緒になった場合、それは新たなスタートを意味します。

2013年、今年はDonutsにとっても僕らにとっても面白くて仕方ない1年になるはずです。目も回るような大きな変化の日々を過ごす中で、ふとこんなことを思いました。


人生というのは何が起こるか分からないから楽しい。
そして、自分から何かを起こすときが一番楽しい。


まさに今、その何かを起こそうしています。
これからの挑戦にご期待ください。